当法人は、国(総務省消防庁・厚生労働省)が推進する 「消防救急の適正利用・地域包括ケアシステム・地域医療連携」において以下の事業を行います。
(1)末期癌患者・難病患者等の県外遠距離移送にかかる移送費の一部支援を行う事業
(2)末期癌患者・難病患者等の冠婚葬祭等参加にかかる移送費の一部支援を行う事業
(3)臓器移植手術を行う患者の病院間転院移送にかかる移送費の一部支援を行う事業
(4)患者移送事業者と医療機関のネットワーク構築を目的としたコールセンター事業
(5)患者移送事業者の品質向上を目的とした技能講習会及び資格認定試験の運営事業
(6)大規模災害時における医療機関との連携に基づく患者移送事業者の有償派遣事業
(7)前各号に附帯又は関連する支援活動
(8)前各号を行うための寄付金募集活動
設立趣旨書
1.趣旨
近年、諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進行する我が国において、厚生労働省は団塊の世代(約800万人)が75歳と
なる2025年を目途に、重度な要介助状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、
住まい・医療・介護・予防。生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現すべく、これら対象となる高齢者個人に
対する支援の充実と、それを支える社会基盤の整備を同時にすすめるよう各地方行政へ働きかけを行っています。
一方、医療・介護の関係機関においては、医療機能の分担と専門化を進めつつ、医療機関同士が相互に円滑な連携を図り、その
有する機能を有効活用することによって、疾患を抱えた高齢者個人が地域で継続性のある適切な医療を受けられるよう、全国各地において
地域医療連携(病院と診療所による病診連携)を積極的に行っています。
そこで、これら地域包括ケアシステム・地域医療連携が全国各地にて幅広く推進展開される中、必要にして求められるものと言えば
患者の移送手段であり、そこに様々な疾病を抱えた高齢者個人の入退院・転院による最適な移送を実現しなければなりません。例えば、
要介助ながら自立歩行可能な高齢者個人にあっては自家用車・タクシーによる移送、また歩行困難であっても座位を保てる高齢者個人
ならば介護タクシー(車椅子車両)による移送が考えられるでしょうか。いずれも全国各地に普及する公共交通等であって、
高齢者個人・家族・親族・各医療関係者にて容易に手配できるものと思われます。
しなしながら、疾病を抱えた高齢者個人が「寝たきり」かつ「医療継続中」の場合、そこに点滴を継続したまま移動しなければならない
患者、酸素投与を継続しながら移動しなければならない患者、気管切開などで痰吸引が頻回とされる患者、さらには人工
呼吸器を装着、またはアンビューバックで他動的に換気を行わなければならない患者などの移送にあっては、それ相当の専用車両
による移送手段が求められることとなります。
すなわち、「寝たきり」かつ「医療継続中」の高齢者個人を入退院・転院にて移送するためには、各消防機関が認可する患者等
搬送事業者(通称:民間救急)による医療系患者搬送車、または各医療機関の所有する緊急車両(病院救急車)を用いなければな
らず、後者の緊急車両(病院救急車)にあっては主たる緊急時において使用すべき車両であり、実質的に言えば各消防機関が認可
する患者等搬送事業者(通称:民間救急)による医療系患者搬送車こそが「寝たきり」かつ「医療継続中」の高齢者個人を入退院
・転院させるために最適な移送手段であると言えるでしょうか。なお、消防救急車にあっては「緊急性を有しない患者移送」には
原則出場しないといった指針が総務省消防庁より示されており、今後は地域包括ケアシステム・地域医療連携を構想通りに実現す
るためにも「民間救急(民間救急車)」が全国各地において幅広く事業展開できる環境を確立することが急務となっています。
日本患者移送支援協会は、これら超高齢化社会を迎えた日本国内における地域包括ケアシステム・地域医療連携が官公庁の指針
に基づいて具現化できるよう、ここに民間による医療系患者移送「民間救急(民間救急車)」の品質向上に伴う活動支援、または
「民間救急(民間救急車)」を利用する高齢者個人の利用負担に伴う金銭的支援を主たる活動と定め、国内における患者移送の在
り方を抜本的に革新すべく設立いたします。よって、日本患者移送支援協会の事業活動は、幅広く「公共の福祉」を実現するため
公正かつ透明性の高い運営によって社会的な信用を得つつ、これら「患者移送支援」に特化した事業活動を展開する中において、
一人でも多くの国民から温かい支援(寄付)を募り、その支援(寄付)が地域包括ケアシステム・地域医療連携の具現化に大きく
関わりをもつ医療系患者移送「民間救急(民間救急車)」の利用促進に役立つよう皆様方と共に歩んで参りたいと思います。
2.設立に至るまでの経緯
平成元年、国(総務省消防庁)は高齢化・核家族進展を背景とした消防救急車の出場増加、それに伴う到着時間の遅延を防ぐた
め、幅広く全国の一般乗用旅客(患者輸送限定)運送事業者を対象とした「民間患者等搬送事業(所轄消防本部認定)」を制定。
元来、救命を主眼とし傷病者の観察と応急処置を行い速やかに適切な医療機関へ搬送することを目的と定めた消防救急車の役割を
全うすべく、緊急性のない患者移送にあっては医療系患者移送車「民間救急(民間救急車)」を活用するよう幅広く国民に求めま
した。
しかしながら今日現在、一部首都圏を除く大多数の地域において「民間救急(民間救急車)」の知名度は著しく低く、また
国(総務省消防庁)の啓発にも関わらず、いまだ各地方の医療機関にあっては緊急性を有しない病院転院等に消防救急を要請して
いる現状に大きな懸念が生じています。
そこで、私ども日本患者移送支援協会は、「消防救急の適正利用」と「民間救急の利用推進」の観点から、これら官公庁・民間
による「患者移送の役割」が今まで以上に明確な位置付けとなるためには、総務省消防庁の限られた啓発活動たけでなく、そこに
地域包括ケアシステム・地域医療連携を推進する厚生労働省と総務省消防庁との間に「共有の認識」が求められるのではないか、
また、その橋がけとなるべく、新たな民間団体が「消防救急の適正利用・民間救急の利用促進・地域医療の社会基盤整備」に向け
た役割を担いつつ「公共の福祉」を総括的に実現することができるのではないか、このような思いで一般社団法人への法人化を決
意するに至りました。
主たる支援すべき「民間救急(民間救急車)」は入退院・転院による利用だけでなく、末期ガン・難病等を抱えた高齢者個人を
愛する家族のもとへ安心・安全・清潔・快適に移送する医療系患者移送車として、近年は愛する家族(子・孫)の挙式(結婚式)
などに救命士・看護師付添にて参加できること、また長年付添ってきたパートナー(夫婦)の葬儀参加などにも活用できるなど、
多種多様なニーズに応えられる体制づくりが確立されようとしています。
今後、一人でも数多くの高齢者個人が余生を自分らしく幸せに暮らし続けられるために、私たち日本患者移送支援協会は、皆様
方のご支援と共に「超高齢化社会における患者移送の在るべきかたち」を探究して参りたいと思います。